祝 「オッペンハイマー」受賞

複数のノーベル賞受賞者部会に従えて科学技術の水準に於いて世界に冠たる国家であると信じられていたナチスドイツの原子力利用と核兵器開発に成功する可能性に怯えながらロスアラモス研究所と全米に点在した基礎技術と関連技術の開発拠点で仕事に従事した何千人もの科学者と技術者を原子爆弾の完成に向けてまとめ上げたロバート・J.・オッペンハイマーが終にノーベル賞を受賞したわけではありません。今回受賞の対象となったのは科学者オッペンハイマーを主人公とする同名の映画作品〔クリストファー・ノーラン監督、キリアン・マーフィ主演)が世界最高峰の映画賞であるアカデミー賞の作品賞および主演男優賞、助演女優賞、監督賞など、ノミネートされた賞を全部受賞したわけではないにせよ、これだけ取れば「総なめ」に近いのではないかと思われる結果を映画史上に刻みました。日本で封切られるのは今月29日ですが既にわくわくしています。

 

出演者の中では大学院で科学(建築)を学んだ知的軍人でセキュリティ面や予算を牛耳ったレズリー・グローブ准将を演じるマット・デイモン原子核モデルでノーベル賞を受賞して若手科学者に父親のように慕われていたデンマーク人科学者のニールス・ボーアをイギリス人シェイクスピア俳優のケネス・ブラナーが演じるのが気になります。にーる・ボーアは後輩科学者やオッペンハイマーとはドイツ語で意思疎通をし、英語がすごく下手だったんですけれどね。アインシュタイン役は誰がやろうが本人に個性ありすぎなので絶対に識別できるようなメイクをしているはずですがこの人も英語はからきしダメでドイツ語とフランス語で喋っていたはずです。

 

何はともあれ、わたしのこのブログに切り貼りしてある「プロメテウス達よ ーー 原子力開発の物語」はこれからの電子出版と紙版出版を見据えて反響を探るためのものであり、今に至るまでにそれなりの手応えを得ていますがまだどちらの出版にも至っていません。書籍も本もそれなりの長所と短所がそれぞれあるわけですが、わたしとしては映画は各登場人物を深く理解する俳優が声や表情などでもって視聴者の視覚と聴覚に迫るのに対し、書籍は背景の説明などを含めて重層的に事象を読者の前に展開することができるという利点を持っているので互いに補完することが出来ると考えています。また本ブログとこれから出版する電子版では読者が適宜ウィキペでイアへ飛ぶことによって登場人物の風貌や、特に科学者の場合、より詳細な業績を理解できるようにしています。

 

みなさん、今月29日にこの映画が封切られたら是非鑑賞して、またこのブログも活用していただいて原子力核兵器についての理解やご自身の考え方を深めてください。